濾紙

世の中便利になって不便な事が少なくなったが同時にとんでもなく紛らわしい物が増えた。たとえばインスタントコーヒー。私はいつもは紅茶党なのだが病院に入院することになって、茶葉。ティーパック。だと一日のコストがかかりすぎることに気がついてコーヒーに切り替えた。もうすぐ一年たつ。今では一日２０杯ほどコーヒーを飲んでいる完全なカフェイン中毒者になってしまった。なのでコーヒーを選ぶときも質より味より量に重きを置いているため、買うときも院内のコンビニではなく近くのスーパーマーケットまで足を運び量がグングンに入った最低辺のインスタントコーヒーを買っている。で。この前少し遠くにあるスーパーマーケットで　インスタントコーヒーの特別価格販売を行うので希望者は来店すべし　というチラシが舞い込んだ。私は喜び勇んで件のスーパーマーケットに出かけていった。安い。いつも買っているスーパーマーケットよりも１５０円ほど安い。　わたしは、　こんな善行を行っている店があるとは！もしかすると仏かキリストのご加護を受けてる店なのかも知らん。と思い、念仏を唱えつつ、額で十字を切り、ついでに買った日清オイリオを頭にぶっかけレジのおばはんに洗礼を授けてもらい、ちんちんを割礼しコーヒーを買った。で。サラダ油でベトベトする頭とヒリヒリするちんちんをさすりながら買ってきたコーヒーを煎れてみた。しかし様子が変である。いつも飲んでいるコーヒーはお湯を注ぐとすぐ溶けるのにこいつはいつになっても溶けやがらず、不細工な背脂のようにカップの表面に豆をひいたのが展開していて湯と混じろうとしないのである。　なんだこれ？　と思い、コーヒーのラベルを見ると　このコーヒーを飲用する際には、専用の濾紙を使って一度濾過した物を飲むが良い。濾紙がないと飲めません。知らないで買ったあなたは本当にバカ、発達障害、アル中、鬱病、脇フェチのくそやろうです。また買ってね。しくよろ。　とかいてあった。　私は怒りのあまり　呪われよ偽善の律法学者インスタントコーヒーよ！！！と叫び、共同の流しに豆ごと全部ぶちまけたのである。全く迷惑な話でインスタントコーヒーごときに濾紙を使うなんてカルチャーはいつできたのだろうか？私か憶えてる限りでコーヒーに濾紙を使っていたのは子供の頃である。うちにコーヒー豆挽きマシンというのがおいてありそれを使ったときは濾紙が必要だった気がするがめんどくさいんでいつの間にかインスタントコーヒーになっていた。今更濾紙に戻すようなルネサンスなどいらないと思うんだけどなー。ヤックデカルチャー。