酔っ払いと公衆便所

アカン吐きそうや

緑のメタリックのイカす奴

日々私は喫煙している。毎日やめたいなーと思っても、朝起きたら激烈な胸のうずきにおそわれてまず一本、飯食って2本、あとはなんだかんだで20本ほど吸っている。いやんいやんも好きのうち、口ではいやがっていても体は正直やなあ ほーれ ほーれ と団鬼六的気分になり気がつくとタバコを咥えているとんでもねえ好き者なんだ私は。で。どこで吸っているのかというと現在入院中のため午前九時から午後四時までは屋上。それ以降は病院内の喫煙所で吸っている。で。やっぱり屋外でタバコを吸っていると鳩や雀などの鳥類がチュンチュンぽっぽこしているので大変動物好きな私はそれを追いかけて遊ぶのを毎日の日課にしている。

今日も腰を曲げ、尻をつきだし ぷりぷりしながら小鳥を追っかけていると、同室の人があとからやってきて私にとんでもないことを言ったのだ。

ニーちゃん。背中に割と大きな甲虫で緑のメタリックのイカす奴がついとるで。

衝撃だった。私は特に虫、しかも甲虫で緑のメタリックのイカす奴が大嫌いなのである。私は同室の人に 後生なので緑のメタリックのイカす奴を取ってくれ と頼んだのだが ワシ虫嫌いでんねん。 の一言で一蹴。私はそこで自分で何とかするほかなく、右手左手をグングンに延ばしその手を背中に回しヨガのポーズに近い姿勢をとったり、その場でアフリカ人のようにジャンプしたり、最終的にその場でぐるぐる回って背中の甲虫で緑のメタリックのイカす奴を払い落とそうとした。やがて高速による回転で私の体はバターになってホットケイクに塗られ土人の腹の中に収まるかと思ったところ散々おっさんをオチョクって満足したのか甲虫で緑のメタリックのイカす奴はブーンと飛んでいった。同室の人はそれを見ながらげらげら大笑いしていて うわっほんまむかつくわー とおもった。わたしのチャギで胸元をぶち向いてやろうかとしたところ件の甲虫で緑のメタリックのイカす奴が戻ってきて同室のおっさんの背中に止まったのである。私は うくく甲虫で緑のメタリックのイカす奴がとまりよった。 と思い声をかけようとして止めた。 なぜか? あんな因業なおっさんに教えるよりも背中にくっつけたまま、首とかシャツの中に入って発狂した姿を見る方がおもろいわい。 と考えたのである。私はわくわくしながら見ていると二三分で飛び立ってしまったのである。甲虫で緑のメタリックのイカす奴におっさんはまるで気がつかなかった。私はひどく損した気持ちになった。知らぬが仏である。ちなみに甲虫で緑のメタリックのイカす奴の名前ははなむぐりでした。
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